「あなた」が何もしないとき未知がひらく

浦島太郎

NO.537

あなたは「楽しかった過去」を思い出す

また「不安なこと」も思い出す

だが「それら」にフォーカスし続けるとき

あなたは “今” から外れている

だから「それら」を見てはいけない

「思い出」を見てはいけない

あなたが「それら」を見続けると

あなたが “あなたの世界” から外れるだけでなく

あなたが歳を取ってしまうからだ

「あの頃のあなたと比べて」相対的に歳を取るのである

「そんなの当り前じゃないか!」 とあなたは言う

だが、このときのあなたは

「ちょっとの間だけ『思い出』を見ただけ」だから

「自分はそのままの状態で歳を取ってない」と思い込んでいるのである

だが、そうではない

あなたは歳を取ってしまっているのだ

この繰り返し

この繰り返しが「あなたが歳を取っている『本当の原因』」なのである

事実、あなたに「過去」が無くなったら

あなたは歳の取りようがない

「相対」が無いことには歳は取れないのだ

このことを熟考してみなさい

このことが “感得” 出来ているとき

あなたは “永遠の今” に在る

そこに「物理的時間」は無い

  

さて、浦島太郎である

彼は「玉手箱」を開けてしまった

「それ」を見てしまった

「玉手箱」とは「思い出」のことである

そして、龍宮城とは、“永遠の今” のことである

つまり、彼は “永遠の今” まで行き

“それ” を携えたままで、ここに戻ってきたのだ

だが「玉手箱」を開けてしまった

「玉手箱を開けた」というのは

「『思い出』を振り返った」ということである

とたんに、浦島太郎は老いてお爺さんになってしまった

“永遠の今” と繋がっていた浦島太郎は

「人間の思考=時間」と成ってしまったのだ

「浦島太郎の話」は、このことを伝えているのである

  

このような話を、先人たちはいくつも残してくれている

「見てはいけない」という「戒め」はたくさんある

オルフェウスの「振り向いてはいけない」もそうだし

イザナギの「見てはいけない」もそうだし

「鶴の恩返し」もそうである

つまり、あなたは「『思い出』を見続けてはいけない」ということである

さらには、その「思い出」に「『余分な意味』を付け足してはいけない」ということである

この「今までの習慣」を正さなければならない

そして、もう一度あなたは “竜宮城” に戻らなければならないのだ

そのためには「振り向かないこと」である

事実を言えば、「思い出」=「玉手箱」はそこにあるが

「それを開いてはいけない」ということである

あなたが “このこと” に徹したとき

そこに “あなたの世界” がひらいてくる

“あなたの世界(龍宮城)” は、“今ここに在る” からである